MAMMOTH KIDS × ARTIST|アーティスト 淺井裕介さんと一緒に 土を使って絵を描こう!

土の色は? と尋ねられたら、あなたは何色と答えますか。白、赤、ピンク、黄、オレンジ、茶、グレー、黒… これらはすべて、土の色。採れる場所や深さによって、こんなにもさまざまな色が存在します。今回は、色とりどりの土を使って、泥絵に挑戦します。
国内外のさまざまな場所を訪れ、その土地で採取できる土を使って「泥絵」を描いているアーティストの淺井裕介さん。今回は、淺井さんが世界中で採取してきた土と水を混ぜて泥にして、真っ白な紙に絵を描きました。
はじめに、いろんな色の土を見ながら、どの国や地域で採れたかを説明してもらいます。つぎに、大きな紙の上をゆっくり歩きまわり、淺井さんの合図でストップして、その場に小さな種を蒔くように絵筆で泥の点を描いていきます。土の種類を変えたり、ほかの人が描いた種に芽や花を付け足したりしながら、泥絵の制作が進んでいきました。
「はじめて泥絵を描いたのは、2008年。インドネシアでの滞在制作中でした。豊かな大地で見たこともない大きな植物を目の当たりにし、その植物を生み出している土を使って絵を描きたいと思ったんです。
土は、絵の具とは違って、生きています。今日も子どもたちが感じていたと思うけれど、泥の状態で描いているときと乾燥したあとでは、色も手触りも変わる。人間のためにつくられた道具ではない、土のような自然の素材で絵を描くときは、自分の呼吸を合わせていかないとできないですね。そういう意味では、泥絵を描くときは毎回、緊張するし、土との対話があるから、飽きることがない。
誰かと一緒につくることのおもしろさは、自分の思いどおりにはならずに、想像を超えていくところ。とくに子どもたちは純粋なので、一緒にやっていて彼らから学ぶことも多い。土との関係性と似ていて、僕が子どもたちに呼吸を合わせているような感覚になりました。もしこれが絵の具で描いていたら、意識的に自分の好きな色をたくさん使ってしまうだろうから、もっと違う絵になっていたんじゃないかな。土を画材として選んだことで、より描くことに集中できたのではないかと思います」
みんなが蒔いた種から太陽に向かって芽が出て花が咲き、風が吹き抜け、小さな蝶が羽ばたき、この森の主である大きな動物も誕生。最後は、足の裏に土を塗って自分たちの足跡を残しながら、生命力あふれる森の探索を楽しみました。
淺井裕介
1981年、東京都生まれ。高校在学中の壁画制作をきっかけに独学で絵を描きはじめる。アトリエでの制作と平行して、現地で採取した土と水で描く「泥絵」、植物のように壁に広がるマスキングテープの上にペンで描く「マスキングプラント」など、屋内外のさまざまな場所に身近な素材を用いて絵を描いている。作品集に『この場所でつくる』(求龍堂)がある。